「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

活動状況|アクションパネル

2024年4月25日(木)16時30分から、いのち会議アクションパネル医療・福祉「いのちの輝きを大切にするためのアクション」を開催しました。

4月25日(木)、いのち会議アクションパネル医療・福祉「いのちの輝きを大切にするためのアクション」を大阪大学中之島センター「いのち共感ひろば」とオンラインのハイブリッドで開催しました。話題提供者の方々含め会場には25名、オンラインには30名が集まりました。以下に、概要を報告します。

堂目 卓生(大阪大学総長補佐、「いのち会議」事業実行委員会副委員長) 開会挨拶:SSIから「いのち会議」「いのち宣言」へ

・いのち会議・宣言の概要説明。「Capable」と「Vulnerable」の共助社会像の提示

林 泰臣(ノックオンザドア株式会社代表取締役):「てんかん患者・ご家族のためのスマホアプリnanacaraの開発と活用」

・医療支援スタートアップ:「難病患者・家族が輝き自分らしい人生を送れる社会」
 → イノベーションを通じて患者・家族の声を社会に届ける、エコシステムの構築
・てんかん診療アプリnanacara:症状・治療記録、患者・家族・医師の連携強化
 → 患者・家族・医師とのコミュニケーションを通じてクチコミを中心に広がる
・患者・家族・医師の間の共感形成によるチーム作り:暗黙知の共有→形式知化
・新たな取組:オンライン診療・薬局展開による難治てんかん医療の地域格差解消
 → 難病の患者・家族を中心に情報共有インフラの整備により社会全体の医療改善へ

谷 由香利(塩野義製薬株式会社CSR推進部こどもの未来支援室)、山脇 智志(キャスタリア株式会社代表取締役/African Mothers株式会社取締役):「スタートアップと大企業のタッグが挑むアフリカでのモバイル母子手帳アプリの普及」

・塩野義製薬のミッション:ヘルスケアサービス全体の改善、医療アクセスの向上
・Mother to Mother Shionogi Project:アフリカの母親・子どもの医療アクセス向上
・下痢症:安全な飲み水・衛生設備などインフラ・衛生行動の改善→社会全体の改善
 → 大学・スタートアップ(African Mothers)と連携して衛生教育アプリの開発
・African Mothers:タンザニアにおけるデジタル母子保健事業(EdTech+MedTech)
・急速な人口増加に対して医療アクセス、保健指導・教育が追いつかない
 → 現地の課題/ニーズ/インフラに対応しながらアプリ開発、教育・情報共有の促進

土井 ゆりか(堺市民、博士(神経科学)):「誰一人取り残さないデータエコシステムを考えよう」

・多様な人々(障害や性別・社会経済)が一緒にルール・ものづくり出来る社会
・医療・福祉分野のデータ利活用・AI化による恩恵:診断・健康アドバイス支援等
・治験における性別・人種格差:病気にかかる層の多様さ⇔治験対象者の狭さ
 →AIのバイアス(データセットの偏り)→サービス・誤認の多発、生成AIの偏り
・課題:データセットの偏りとその結果生じる差別・バイアス、データの乱用・誤用、データへのアクセス格差(学びの機会、雇用機会なども含む)

塚本 結風(神戸市立葺合高等学校):「生理休暇を取得しやすい社会にするためには」

・自身の体験に基づき日本における生理休暇の現状への疑問:日本は国際的に早く導入したが、取得しにくい社会になっていることにどう対応していけばよいか
・データ分析:月経症状の内容、経済的損失、受診経験、会社の理解・規定について
 → 生理休暇の取得へのハードルの高さ:理解の低さ・女性管理職の少なさ
・課題解決に向けた事例・推論:講習会の開催、アプリを通じたオンライン診断・休暇取申請のハードル低下、生理休暇→オンライン休暇などイメージの改善
・提案:社員全員への講習会を通じた理解と共感の醸成、休暇申請・診断をパッケージで行えるアプリの開発(MoMent)→総労働人口の45%を締める女性の活躍へ

ディスカッション

・上司や学校の先生の生理に対する理解度の低さ:生理の症状の個人差の大きさについては男性だけでなく女性もなかなか理解出来ていない。単に生理休暇を取りやすくするというだけに留まらず、問題の多様性について啓蒙が必要
・根本的な問題解決には啓蒙が重要だということに共感するが、その際には国・政府の関与が重要になるだろう。例えば生理休暇に関する法整備だけでなく、講習会や生理休暇を促進している企業への補助金などの促進政策も重要か
・日本社会における同調圧力など問題の根幹にある文化・慣習にどう向き合うのか