「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

活動状況|いのち会議全体

【開催報告】2025年4月26日(土)、「いのち会議 大阪・関西万博会場キックオフ」(万博会場TeamExpoパビリオン)を開催しました。

2025年4月26日、大阪・関西万博会場、Team Expoパビリオンにおいて「いのち会議」会場キックオフイベントが開催されました。

いのち宣言といのちの歌

本イベントでは最初に「いのち会議」事業実行委員会 委員長で、大阪大学社会ソリューションイニシアティブ長の堂目卓生氏から「いのち宣言」が読み上げられました。

「いのち宣言」は「いのち」を「かんじる・まもる・はぐくむ・つなぐ・しる」の5本柱から構成され、「いのち輝く未来社会」の実現に向けた具体的なアクションプランに基づくアジェンダです。今回は10月11日に万博会場で開催予定の「いのち宣言フェスティバル」で発出される予定の「いのち宣言」の暫定縮刷版が公開されました。

<<「いのち宣言」暫定縮刷版はこちら>>

堂目氏は「いのち宣言」を通じて、「いのち」の輝きと脆さを両面的に捉え、誰一人取り残されない社会を構築することに一人でも多くの人が共感できるようになることで、社会の変革が進んでいくと力強いメッセージを発されました。


いのち宣言の読み上げに続き、いのち宣言の一部でもある「いのちの歌」が披露され、「いのちの歌」の作者である橋本昌彦氏が制作意図を語りました。橋本氏は宣言文の言葉が自然に旋律を奏でているように聞こえ、その感性に基づいて作られた「いのちの歌」を通じて共感の輪が広がることに期待すると述べられました。

いのち会議の活動

 「いのち宣言」の紹介に続いて、「いのち会議」の4つの取り組みが紹介されました。

1つ目の国際部門の取り組みでは、Health(健康・栄養), Well-Being(災害・年)、Sustainability(資源・建築)をテーマに国内外の大学研究者が連携し、教育・研究を通じた未来社会の構想について考えていることが説明されました。

2つ目のアクションパネルの取り組みでは、医療・福祉・教育・防災・アートなど12のテーマに基づき、市民と専門家が協働し、社会実装に繋げるためにこれまで開催されてきた議論の場の様子について紹介されました。

3つ目の「いのちの声」の取り組みでは、アクションパネルや国際部門のような場に参加・アクセス出来ない人々からも「どんな社会を望むのか」、「なぜそう思うのか」、「何をしたいのか」という3つの問いに対する回答(声)を収集し、いのち宣言やポストSDGsに反映されるように動いていると説明されました。

4つめのユースチームの取り組みでは、大学生が災害・格差・気候変動など社会課題を自らの視点から捉え、大学や世代の壁を越えて共に学び、共に行動する活動を展開していることが紹介されました。

企業家・実践者と若者の対話

その後に行われたパネルディスカッションでは、企業家・実践者として高山千弘氏(元エーザイ、現ノックオンザドア)と林泰臣氏(ノックオンザドア)が登壇し、活動の紹介を行うと共に学生との対話を行いました。

林氏は、ノックオンザドアが、難病・希少疾患の患者さんとその家族の声を集め(「nanacara」アプリの開発と活用)、どのように「いのち」に向き合い、その声を社会の仕組み(診療支援や遠隔ケアなど)へと繋げてきたのかについて紹介しました。このノックオンザドアの活動については「いのち宣言」の宣言文2-5「デジタルテクノロジーを活用し、個人や家族に寄り添ったいのちのケアを実現しよう」のモデルの一つにもなっています。

また、高山氏は一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏の「人は関係性の中で人になる」という思想に基づく知識創造理論を紹介し、共感と対話を通じた創造の重要性について述べられました。また、堂目氏から、今年1月に亡くなられた野中氏からも「いのち宣言」に提言を提出していただき、宣言4-5「企業と社会が積極的に対話し、一体となって助け合いの経済システムを構築しよう」にその考えと想いが反映されていることが紹介されました。

それに対して学生からは、社会課題解決に取り組む同世代の姿をみて意識が変わった経験や、病を抱える当事者としての孤独や希望、同じような活動を行っている他の団体との協働の重要性と難しさなどについて、率直な声があがりました。

今回の対話を通じて、学生達の実践とその背後で抱える不安が、実は企業・行政・市民の活動とも共通していることが改めて浮かび上がったように思います。だからこそ、企業と市民が積極的に対話し、共感に基づき「いのち」の価値を高めることにつながる「共感経済」の構想が重要性をもつといえるのではないでしょうか。

以上のように、本イベントは、「いのち」の価値について感性と実践の両面から堀り下げ、「いのち輝く未来社会」の実現に反映させようとする意志が共有され、多様な人々の間に共感が生まれる場になったといえるのではないでしょうか。

開催日時・場所

日時:2025年4月26日(土)12:30~14:00
場所:大阪関西万博会場 Team Expo パビリオン

プログラム

・「いのち会議」の理念紹介(堂目 卓生 氏)
・音楽イベント
 テーマソング「いのち/INOCHI」(橋本 昌彦 氏)
・多様な活動紹介(国際部門・ユース・アクションパネル など)
・「いのち宣言」発表パネルディスカッション
  林 泰臣 氏 (ノックオンザドア株式会社代表)
  高山 千弘 氏(エーザイ株式会社ナレッジクリエーション・フェロー
         ノックオンザドア株式会社 共同創業者取締役)
  学生3名
   モデレーター 堂目卓生 氏

実施体制

 主催:いのち会議
 共催:大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)
 後援:関西SDGsプラットフォーム大学分科会