「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

活動状況|いのち宣言

【提言】人間も人工物も包みこむ地球のいのちの持続的な循環と再生のために、共生志向意欲が喚起される価値モノサシで、新たな豊かさに向かおう。

SDGs ゴール12
SDGs ゴール13

概要

工業社会の豊かさは、人々の暮らしを向上させる商品を、より安くつくり、より多く売って収益をあげ、人々の収入を高め、さらに新たな消費につなげるスパイラルアップの経済システムの下に実現されてきました。地球環境が育んだ数多のいのちと、そのメカニズムは、そこに投入され続けてきました。しかし今、その経済システムの力は、地球のいのちの再生力を越えるほどの大きさ1)になっています。

だからこそ、経済システムの変革は、いのち宣言の大切な一つであり、そのために、豊かさのモノサシを替えることが必要になります。人間の成長志向意欲を、モノやカネの「量的な経済尺度」に集中させて競争するのでなく、人間も含めた地球のいのちが再生され、育ち、循環可能になるための価値モノサシで、人間の持つ共助と持続の共生志向意欲を喚起し、新たな豊かさに向かうのです。

このような社会変革に向かうために、SINIC理論2)という未来予測理論に基づく未来ダイアグラムが活用できます。これは、1970年の大阪万博開催と同時期に、オムロン創業者立石一真らが発表したものです。オムロンのみならず、若い起業家、大手企業の経営層、国や自治体の共感や活用も急増しています。

その特徴は、100万年前の人類史をたどり、科学、技術、社会の相互作用の円環的関係から未来社会を予測するというものです。現在は、産業革命以降の社会発展を実現させた、モノや個の価値を重視する工業社会、情報社会から、心や集団の再価値化を経て新たな豊かさを享受する「自律社会」、「自然社会」への大転換期「最適化社会」です。自律に向かうためには、分散型ネットワーク社会や、再生による価値創造、倫理的資本主義への針路を定め、新たな価値のモノサシと経済システムづくりが必要です。

そこで、未来への変革を駆動する経済システムの両輪は「再生型経済(リジェネラティブ・エコノミー)」と「善行型経済(エシカル・キャピタリズム)」となります。

1つ目のリジェネラティブ3)という言葉は、サーキュラー・エコノミーやサステイナビリティとの違いがわかりにくいでしょう。元は農業において劣化した土壌を再生し、減少した野生生物や植物種の数を回復させながら食物を生産することを指していました。そこで、材料や製品の資源循環、生態系の回復にとどまらず、社会をいのちの集合体ととらえ、様々ないのちの劣化の再生を支える経済活動を創造しようという考え方、いのちの輝きを生かす経済として名付けられました。

2つ目のエシカルは、企業の目的は善行にあり、その結果、次の善行への蓄えを得るという経営観です。近江商人の「三方よし」、渋沢栄一の「論語と算盤」といった伝統的な日本の商道徳の再先端化です。哲学者マルクス・ガブリエル氏が提唱する「倫理資本主義」や、今道友信氏の「エコエティカ(生圏倫理学)4)」にも重なります。社会的起業のような善い行いをビジネスにする兆しは、よりよい未来を拓こうとする次世代の活躍の後押しに直結します。

未来世代が、そのいのちを輝かせて、よりよい社会創造に取り組めるよう、未来をたぐり寄せる経営を目指すオムロンの、さらにフロンティアとなるヒューマンルネッサンス研究所では、既に90年代じから自律分散ネットワーク社会を目指した活動や、未利用資源活用、農的価値の向上、健康寿命の延伸に取り組んできました。そして今も、新たなライドシェア、遠隔診断、健康経営への取り組みを共創型で推進しています。

いのち会議は、これらの組織と協働して、よりよき祖先であるための未来創造を、妄想、構想、実装へと進め、いのち輝く未来を拓きます。

参考情報

1)Warning of a forthcoming collapse of the Atlantic meridional overturning circulation
 https://www.nature.com/articles/s41467-023-39810-w
2)未来への羅針盤「SINIC(サイニック)理論」
 https://www.omron.com/jp/ja/about/corporate/vision/sinic/theory.html
3)人と環境と経済が 共存し共鳴し合うリジェネラティブな未来
 https://www.youtube.com/watch?v=oZ-KyYnQhPw
4)今道 友信:エコエティカと文明
 https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900040690/42imamichi.pdf

関連するアクションパネルのテーマ

3.経済・雇用・貧困

関連する「いのち」

いのちを「つなぐ」、いのちを「はぐくむ」

関連するSDGs