活動状況|いのち宣言
【提言】障害の有無、性別、年齢、国籍、全ての垣根を超えて、誰もがオシャレを楽しめる世界の実現に向け行動しよう
概要
障害の有無、性別、年齢、国籍などは、自分に合ったデザインや機能を持つ服を選ぶ上で「垣根」になることがあります。これまで一般社団法人日本福祉医療ファッション協会は、そうした垣根に関係なく、すべての人がアクセスしやすく、着脱が簡単で、誰もがオシャレを楽しめる服を作ってきました。例えば、身体に麻痺がある方々のための巻きスカート型のボトムス(bottom’all)(写真A・B)、手首からわき腹までジッパーで開閉できるジャケット(写真C)、車椅子ユーザーに配慮したジッパーが多数あるブーツ(バナナブーツ)(写真D・E)などを開発し、2022年9月にはパリファッションウィークで車椅子ユーザーのみのファッションショーを開催いたしました。
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写真A
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写真B
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写真C
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写真D
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写真E
この取り組みにより、その後、多くの車椅子ユーザーがニューヨークやミラノのファッションウィークに積極的に参加するようになり、障害の有無に関わらず誰もがオシャレを楽しむ社会に近づいたと感じています。
同協会には、活動を通じて、多くの方々から衣服に関する困りごとが届いたそうです。担当の方によれば、その中で特に心に残っているのが「おむつ」に関する課題です。車椅子ユーザーの友人が「おむつを穿いている姿を見られたくないから旅行に行けない」と悩んでいたことや、介護施設でおむつを穿くように促された母親の悲しそうな顔を語った友人の言葉が、大きな衝撃を与えました。尿漏れや便漏れの問題は、家族や親しい友人にさえ話しづらいものです。このような声なき声を形にすることが自分たちの使命だと感じるようになったとのことです。
私たちのすぐそばには排泄に関して悩みを抱えている方がたくさんいます。産後の尿漏れに悩む女性や、前立腺の病気で尿漏れに苦しむ男性、事故や病気で便意を感じにくくなった方々、一人で排泄が難しくなった人たちがいます。これらの困難に直面する姿を見て、同協会は「ミライのO-MU-TSUプロジェクト」を立ち上げる決意を固めました。
現行の市場には、多くの機能性に優れたおむつが存在しますが、デザインには大きな制限があります。ほとんどが無地の白色で、使い捨てのシンプルさが強調されています。それに対して、普通の下着は多様なデザインやカラーがあり、個人の好みやスタイルを反映しています。自分の好みに合った穿きたいと思えるおむつの選択肢が少なくて、心や行動の自由を失っている人たちがいるということです。 同協会は福祉と医療、ファッションショーの視点から、心躍るおむつをデザインすることを計画しています。
同協会は、2025年の大阪・関西万博でおむつを主役にしたファッションショーを開催し、世界に向けて声なき声を届けたいと考えています。このイベントを通じて、おむつに対する認識を変え、全世界での議論を促進し、社会の変化を目指していきます。いのち会議は、このイベントに参加するだけでなく、万博後も、同協会とともに障害を抱えていても、排泄の悩みがあっても、誰もがオシャレを楽しめる世界を、世界中の人々と手を取り合い共に創っていきます。
参考情報
・尿失禁は日本に推計1300万人以上。(週一回以上の尿失禁、出典は「女性下部尿路症状診療ガイドライン」2019年)
https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/38_woman_lower-urinary_v2.pdf
・便失禁は日本に推計500万人以上。(月に一回以上の便失禁、出典は「便失禁の定義と疫学」味村俊樹、外科 79 (3), 212-219, 2017)
※便失禁については、65歳以上で7.5%、20〜64歳で4%です。
※尿失禁について、詳細は以下になります。
週1回以上の尿失禁:1324万人(男性486万人、女性838万人)
切迫性尿失禁:男性202万人、女性377万人
腹圧性尿失禁:男性82万人、女性461万人
毎日の尿失禁:612万人(男性168万人、女性444万人)
切迫性尿失禁:男性124万人、女219万人
腹圧性尿失禁:男性44万人、女性225万人
・一般社団法人日本福祉医療ファッション協会
https://wel-fashion.jp/about/
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