いのち宣言
ネットと実際の対話を組み合わせて、みんなの「よりよい社会をつくるアイデア」を集め、世界の人々といのちについて考え、新しい未来をつくっていこう
社会課題をめぐる市民参加の進化と実践を紹介します。
バルセロナ市での4万人規模の市民参加による計画策定、11歳以上の市民が参加するニューヨーク市の予算決定、加古川市における若者主導の政策実現など、デジタル民主主義プラットフォーム「Decidim(デシディム)」を活用したシビックテック(テクノロジーとコミュニティを通じて政府と市民の関係を変革する活動)の実践は、具体的な成果を上げています。このことは、テクノロジーを活用した市民の集合知は、政策立案と実践を変革できることを示しています。
こうしたシビックテックは、SDGs 目標16に謳われた「効果的で責任ある包括的な制度」の実現に貢献しています。つまり、バルセロナの事例が示したオンラインと対面を組み合わせた「ハイブリッド型の対話」、ニューヨーク市の経験を活かした年齢や立場を超えた参加の仕組み、そして加古川市での若者主導の政策立案プロセスがその具体化であり、その際オープンソースのプラットフォームとコミュニティの力を組み合わせることによって参加制度を成り立たせているのです。
日本では、インターネットが社会に普及した1990年代後半以来、インターネットを活用した市民参加の取り組みが実践されてきましたが、コロナ禍においてオンラインが広く日常生活に普及するにつれて、さらに関心が高まっています。しかし、SDGs の観点での制度実現は道半ばであるといえます。

Decidimを活用した対話の様子(兵庫県加古川市)
Decidim は、2016年にバルセロナで開発されたデジタル民主主義プラットフォームとして、世界30カ国・地域の450サイトで運用され、約300万人が利用しており、日本では一般社団法人コード・フォー・ジャパン(Code for Japan)が日本語化を行い、日本唯一のDecidim 公式パートナーとして導入を推進しています。加古川市で2020年10月に開設されて以来、これまで国・自治体・企業・団体の約30の実績が生まれています。
いのち会議でも、特定非営利活動法人 Code for OSAKAと Code for Japanとの連携のもと、Decidim を活用して「いのち宣言」や若者の活動を発信しています。SDGs の観点に立ったいのち会議の活動にとって、Decidim は非常に重要な役割を果たします。ここでの連携活動から、「しる」と「つなぐ」とを掛け合わせた取り組みとして次のような可能性が考えられます。
●「しる」の観点から:
デジタルプラットフォームを通じて、多様な市民の声や知恵を可視化する
若者から高齢者まで、異なる世代の経験や視点を共有する
プロセスの透明性確保による相互理解を促進する
情報アクセスの民主化による集合知を形成する
●「つなぐ」の観点から:
オンラインとオフラインの有機的な結合による新しいコミュニティを創造する
世代間、地域間の対話を促進する場を構築する
市民と行政、マルチステークホルダーをつなぐ新しい協働を実現する
そして、SDGs+Beyond に向けて、各地のコミュニティを横断的につなぎ、地域に根ざした「いのち」の知恵をグローバルにネットワーク化することが必要です。Decidim はその際のデジタルアーカイブの役割を果たします。これは、国連で推進する「デジタル公共財」の考え方、誰でもデジタルを活用してどの世代間・地域間の経験と知恵も継承できるという、デジタルコモンズを確立するものでもあります。
いのち会議は、さまざまな団体と協力して、シビックテックを通じた新しい市民参加の可能性を拡げると同時に、その活動を未来に向けた実践の記録として残していきます。
【参考情報】
・Decidim 公式ページ
・バルセロナDecidim
https://www.decidim.barcelona/
・ニューヨーク市 NYC Civic Engagement Commision
https://www.participate.nyc.gov
・兵庫県加古川市 市民参加型合意形成プラットフォーム
・いのち会議/ Inochi Forum Decidim
https://inochi-forum.makeour.city/
・国連事務総長「デジタル協力のためのロードマップ」
プレスリリース・日本語訳
https://www.unic.or.jp/news_press/info/39314/
原 文(English):https://www.un.org/en/content/digital-cooperation-roadmap/
【アクションパネル】
SDGs+Beyond
【SDGs】
