「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

いのち宣言

医学におけるレジリエンスの向上を通じて未来医療を推進し、どのいのちも取り残さない、いのちが輝き続ける未来社会を実現しよう

大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、中心は「いのち」です。新型コロナウイルス・パンデミックは世界の人びとを死の恐怖によって震撼させ、あらためて「いのち」の大切さを世界中が感じました。その克服によって日常生活が戻ったいま、この地球的経験をもとに未来に向けて「いのち」輝く世界を築いていくことこそが、現代を生きる私たちの使命であると言えます。

振り返ってみれば、ホモサピエンス(ラテン語で「賢い人間」)がなぜ地球上でこれほど繁栄してきたのでしょうか。決して地球上で強いわけではないホモサピエンスが弱さを強みに変えて「危機を生き抜く知」を蓄え、築き上げることができたのは、粘り強い賢さ、すなわちレジリエンスの力によるものといえます。

新型コロナウイルス・パンデミックの経験は、より良き未来の選択のために、医学においても大きな、そして新たな視座を与えてくれました。mRNA ワクチンや抗COVID19薬などを中心とする世界の医学者や医療者の闘いが地球を救い、ようやく人類が未来に向かって歩みだすことができるようになったいま、医学におけるしなやかさや復元力、すなわち「レジリエンスの力」そのものの重要性を、だれもがあらためて実感したのではないでしょうか。今後も、新たな医学的脅威や難病に対して、医学者や医療者の叡智の結集が地球を救い、だれ一人取り残さない、いのち輝く未来に向かって歩みださなければなりません。

現在、従来の創薬や医療機器開発の時代から、iPS 細胞による再生医療やゲノム研究による精密医療、AI やロボティクスによる次世代医療機器など、新たなサイエンスの発見に基づく医療イノベーションによって、病気が不治から治癒回復にむかう「人生100年時代」に突入しつつあります。心不全パンデミックの時代に入っている高齢化社会の中で、私たちは、心臓移植や人工心臓治療に加えて、より多くの心不全患者を救うために、iPS 細胞由来の心筋細胞を用いた心不全再生治療を開発し、未来医療を実現しつつあります。

「医学におけるレジリエンスの力」による種々の難病や感染症の克服のための未来医療の挑戦と貢献を、世界が期待しています。

このような背景のもと、未来医療を実現するために、大阪の中心地、中之島に「未来医療推進機構 中之島クロス(NQ)」が誕生しました。この地は、大阪公立病院(1879年)から大阪帝国大学医学部(1931年)を経て大阪大学医学部(1949年)へと150年近く続く、新しい医療と医療者を育んできた医学伝習の聖地です。そして2025年、iPS 細胞等の再生医療やAIロボティクスを中心とした未来医療社会実装拠点及びスタートアップ育成加速拠点である NQ が、万博レガシーとして始動しました。一つ屋根の下に、企業、研究所、スタートアップ、そして病院やクリニックなどを有することは世界的にも珍しく、成果が臨床応用に直結します。NQ に医療産業・スタートアップエコシステムを確立し、大阪から世界に向けて未来医療の社会実装が進み、だれのいのちも取り残さない、いのち輝 く未来社会の実現が期待されます。

未来医療推進機構 中之島クロス(NQ)

医療者は、常に死を識り、死をクールにとらえ、死に至る病と闘っています。他方、世界では、毎日、どこかで殺人事件や戦争が起きています。これはまさに、賢くないサピエンスのエゴでしかありません。

「いのちをまもる」ことを使命として働いている人びとは、許せない気持ちでいっぱいになるでしょう。平和で豊かな時代にあって、「いのちの意味」を考えることが忘れ去られているのではないでしょうか。今、だれもが「Well-being(いかに幸せに生きるか)」と「Well-dying(いかに幸せに死んでいくか)」を常に意識した、健康健全な人、社会、国、地球であることが求められています。

いのち会議は、さまざまな医療・研究機関と連携し、だれのいのちも取り残さない、いのちが輝き続ける未来社会の実現を推進します。

【参考情報】

・未来医療推進機構中之島クロス

https://www.nakanoshima-qross.jp

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