いのち宣言
こどもや若者を中心に、社会に生きる一人ひとりが社会のかけがえのない一員として大切にされ、社会の中で「居場所と出番」を持つことができる共生社会をみんなでつくろう
公益社団法人日本フィランソロピー協会では、企業や従業員等の社会貢献活動の企画・運営、コーディネートに取り組んでいます。
たとえば、少年院に入っている少年たちのボランティア活動の企画・運営に関わっています。ある少年院には、再犯を繰り返している少年が入っていて、ひどい虐待を受けていたり、障がいがある少年もいて、職員の方によれば、「これまで一度も『ありがとう』を言われた経験がなく、おとなや社会、そして自分自身にも絶望しているこどもたちが多い」ということでした。職員の方が、このこどもたちに、感謝される体験、自分も役に立つ存在であることを実感する機会を持たせてあげたいと仰ったのです。この少年院は独居室なので、自室で一人でできるボランティアが条件です。
そこで、日本フィランソロピー協会は、胡蝶蘭の花を咲かせ、その花をこども病院や児童養護施設、難民支援団体などに寄贈するプロジェクトを始めました。贈呈式をおこない、寄贈先の方から感謝の言葉を述べていただきます。少年たちは「この花を見ている間は、病気のことは忘れてください」、「大事にしてあげてください」などのメッ セージを添えて贈ります。このささやかな体験が少しでも彼らの生きる支えになればと願っています。
そして、少年・少女たちへの職員の皆さんの献身的なサポートも見逃せません。実際、退院後に、多くの少年・少女たちがよく電話をかけてくるそうです。社会に戻ると、やはり偏見や差別にさらされてつらい思いをする子は多く、電話で職員に愚痴を言ったり、褒めてもらったりすることでまた頑 張れるようです。少年院では、職員などに守られて過ごしますが、出院後は、現実の厳しさに直面します。そんな中、職員とつながっていることが彼らのいのち綱になっているようです。こどもたちのいのちを守るためには、孤立させないことが不可欠です。ただ、こどもたちの実態は厳しいものがあります。若者に関する統計を見ても、2022年度のこどもたちへの虐待件数は、こども家庭庁によると、21万人を超え、10年前の倍になっています(児童相談所における虐待相談対応件数)。若者の死亡原因に関しては、先進国の中では、日本だけが自殺死亡率が16.3%で第1位です(世界保健機関資料、2023年2月)。
上記の課題解決のために、日本フィランソロピー協会は、農福(農業と福祉)連携事業を始めました。担い手・承継者不足で耕作放棄地が増えている昨今、障がい者・引きこもり・触法者・外国籍の人などが農業の担い手として働くことで、農業活性化を通じ、その地域全体が人にも環境にも優しく、こどもたちが未来に希望を持って育つ「居場所と出番のある」地域づくりを2050年に向けて推進します。

少年は育てた花にリボンを飾り言葉を添える

農家の人たちとともに働く障害のある人たち
いのち会議は、日本フィランソロピー協会などの団体ととともに、企業の持てる社会資源や従業員の協力も得ながら、すべての人に「居場所」と「出番」がある社会をつくるための輪をひろげ、いのちをつなぐ役割を果たします。
【参考情報】
・公益社団法人日本フィランソロピー協会
https://www.philanthropy.or.jp
・農福連携による共生社会創造事業 採択事業/ 農福連携事業
https://www.philanthropy.or.jp/noufuku/adopted/
【アクションパネル】
SDGs+Beyond
【SDGs】


