いのち宣言
その人らしさを大切にし、一人ひとりの心に寄り添うケアの実践を通して、高齢者など、多様な人びとが役割を持ち合う共生型地域コミュニティを実現しよう
超高齢社会において、施設中心・管理型のケアモデルが広がる中、特に認知症高齢者の心理状態が理解されず、尊厳や自律が奪われています。日本モンテッソーリケア協会は、2021年にサービス付き高齢者向け住宅「柴原モカメゾン」を開設し、その人らしさを大切にし、一人ひとりの心に寄り添う「モンテッソーリケア」を実践しています。
当施設では、日常の「アクティビティ」を通してできること・好きなことを発見し、それを社会における「役割」として実践することで、認知症の方も可能な限り自律し、高い自己肯定感を持って穏やかに暮らしています。顔の表情の変化の中に、意欲の兆しや不安のサインを読み解くAI 技術も開発しました。モンテッソーリ認知症ケアワーカー養成セミナーを開催し、国際資格保持者を毎年約10名ずつ輩出しており、毎月2回の勉強会も行っています。
さらに、同協会は古民家を改修し、『暮らす看護ホスピスもかの家』を立ち上げ、新たな緩和ケアに取り組んでいます。日本に初めてホスピスを導入した柏木哲夫氏は、痛みには身体の痛み、心の痛み、社会の痛み、魂の痛みがあり、魂の痛みまで癒すことの大切さを語っています。同協会はこれら4つの痛みに対応するとともに、家族の痛みの緩和を新たな目標に加え、誰でも24時間出入りできて、自由に趣味を楽しんだり、ペットの持ち込みやお酒の嗜みもできるような、本人にも家族にも悔いのない看護と看取りを実践しています。先進的な ACP(アドバンスト・ケア・プランニング)にも取り組んでいます。
同協会は、以上のモデルを広く伝えるため、国内外の学会での発表と論文投稿、シンポジウムや講演会への登壇を行い、多くの取材も受けてきました。2025年大阪・関西万博では、産学連携による研究成果を「しあわせを呼ぶ認知症」というテーマで出展し、多くの共感を集めました。この反響をケアの価値観の転換点とするために、下記のアクションを計画しています。

大阪・関西万博での展示の様子
【第1期 2025~2028年】
ケアワーカー養成セミナーの継続、国際モンテッソーリ大会(2026年)における大阪・関西万博の出展の再現、全国への展示会・ワークショップなどの展開を行うとともに、SNS や動画プラットフォームによる発信を強化する。先進施設との連携による成功事例の創出と、自治体との連携による地域単位での導入を行う。
【第2期 2029~2035年】
地域の中核を担うリーダーを養成するセミナーを運営し、2035年までに国際資格保持者200名を輩出する。モンテッソーリケア導入施設同士の共同研修・現場実習などを行う実践コミュニティを形成する。
介護保険制度に「自律支援型ケア」評価基準を導入するため、実証データに基づいた政策提言を行います。アジア等海外への展開を視野に入れ、当該地域の研究・実践機関と連携し、成功事例の確立に取り組む。
【第3期 2036~2043年】
前述の制度を実現するとともに、大学・専門学校と連携し、教育課程への導入を開始する。
【第4期 2044~2050年】
モンテッソーリケアを一つの文化として社会に根付かせ、次世代に継承していくため、小・中・高等学校におけるカリキュラムへの組み込みの提言と実践を行う。
【全期間】
哲学とAI などテクノロジーとの統合を図るとともに、モンテッソーリケアの実践書を出版する。
モンテッソーリケアは、広義のケアの哲学であり、人間を尊厳ある存在として扱う社会のあり方そのものです。いのち会議は、モンテッソーリケア協会のような組織と協働して、こども、高齢者など多様な人びとが役割を持ち合う共生型地域コミュニティの実現に向けた歩みを進めます。
【参考情報】
・柴原モカメゾン
https://www.montessoricarejapan.com/mocamaison
・一般社団法人日本モンテッソーリケア協会
https://www.montessoricarejapan.com
【アクションパネル】
医療・福祉
【SDGs】


