「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

いのち宣言

【提言】デジタル教育と伴走支援を掛け合わせることによって、困難を抱えるこどもたちの「希望の循環」をつくり、貧困の連鎖を断ち切ろう。

概要

現在、日本の子どもの 9 人に 1 人が相対的貧困にあります。家庭の経済状況は子どもの自己肯定感や学歴、将来の雇用形態に大きく影響し、不登校やひきこもりの増加にもつながります。さらに、ヤングケアラー、発達障害、外国ルーツなど、経済的困難以外の要因も重なり、機会格差はますます広がっています。

低年齢層を対象とした食事支援、学習支援、居場所支援などは少しずつ増加傾向にある一方で、義務教育を終える高校生年代はその支援から漏れてしまっている現状があります。また、困難を抱える子どもは、自身の興味・関心を育むきっかけ、学校外での経験、社会的なつながり、計画性やどのように学べばいいかといったことを考える力が不足する傾向にあります。将来的に経済的・精神的に自立していくための「自走力」をつける支援も不足しています。

認定NPO法人CLACKは、「貧困の連鎖」を断ち切るため、困難を抱える高校生や同年代のこどもたちに対してデジタル教育とキャリア教育を通した伴走支援を行っています。

CLACKは、東京・大阪を中心に、教育委員会や高校、NPO、ソーシャルワーカーと連携し、困難を抱える高校生が主体的に学び、安心して過ごせる居場所づくりに取り組んできました。

3ヶ月間のデジタル教育とキャリア教育を提供する「Tech Runway」では、授業料や交通費、学ぶためのパソコンも支給し、経済的な理由で学びを諦めることがないよう完全無料としています。

スキルを身につけた後は、社会に出る前の実践機会も用意し、経験、つながり、考える力を育む機会を提供するとともに、学びと実践の循環をつくることで将来の選択肢を広げています。

これまで3ヶ月のプログラムの累計参加者数は約500名、直近3年間のプログラム完走率は93.8%にのぼります。また、修了生の約 50% が情報系の大学や専門学校への進学、またはIT企業への就職を実現し、ひとり親家庭や不登校を経験した若者が未経験からIT人材としてキャリアを歩み始めてもいます。

昨今AI技術が急速に発展、普及しており、子どもたちが将来働く市場も日進月歩で変化している状況です。今後のCLACKでは、市場の変化に応じて、学べるコースの拡充やオンラインプログラムの展開など、全国どこにいても質の高い学びと挑戦の機会が得られる環境を構築する予定です。

これらの活動を通じ、逆境の中で生まれ育ったこどもたちが、貧困や差別、偏見や分断を乗り越えて、社会の中で自立し、他の人びととつながりを持って生活をする姿は、同様の環境にあるこどもたちにとっての希望となります。その結果、すべてのこどもたちが、生まれ育った環境に関係なく自分にはチャンスがあり、自分の人生を自分で切り拓いていけると感じられるような「希望の循環」ができるでしょう。

いのち会議は、CLACKのような組織との連携を広め、過去から受け継がれてきた知恵と資源を活かしつつ新しい技術や方法も取り入れ、「希望の循環」を全国に広げることによって、「いのち」のバトンを未来へつないでまいります。

参考情報

・厚生労働省「国民生活基礎調査」(2022年):
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf

・日本財団「数字で見るヤングケアラー」:
 https://youngcarer.jp/report/

・文部科学省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要:
 https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf

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3.経済・雇用・貧困

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