「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

いのち宣言

企業活動によって社会を改善するためには、数値化されない価値こそ重要です。その価値を日本のさまざまな地域から再考し、再編集して世界へ発信していこう

2008年、リーマンショックが起こり、行き過ぎた資本主義が世界的に問題となっていました。世界で一強となっていたアメリカは、金融工学を生み出し、お金でお金を生んでいく“ 成功” の姿を広げ、日本もそれを追いかけていました。

他方、“ 成功”していた欧米の資本家には、逆に京都の文化や禅などの精神性に関心を持つ人もいました。改めて好まれているものを見てみると、そこには日本古来の伝統や文化、人々の暮らしのベースに流れていたものがあり、「そもそも日本の強みはそこにあったのでは?」と思えるようなものもありました。

「数値化されない価値」こそが、日本が本来持っていた強みであり、それらを分解し、再編して、新たな価値を創出していくことが、人口減少社会に入り、課題先進国と言われる日本が世界に示すことのできる本当の成功の姿であり、再び世界からリスペクトされる存在になるのではないか。そんな想いから、そして日本の縮図とも言える京都から、それらを考え、発信していこうとしたのが2008年度に始まった「京都流議定書」です。

京都流議定書開催の様子

京都では以前から、素晴らしい想いのイベントなどは数多く行われていましたが、それぞれがバラバラで行われ、融合していなかったため、京都流議定書では、京都の産官学と伝統文化、宗教界、そこにまだソーシャルビジネスとも言われていなかった若手起業家も加えて、多様な人が混じり合うことで新たな価値が生まれることが目指されました。

京都流議定書は、その初年度から京都市が共催として参画しました。発足当時に初当選された門川市長からは、ドイツのメルケル首相が国際会議の場で「環境に良いことをしていますか?」という意味を込めて “Do you Kyoto?” という表現を用いてスピーチしたという逸話が紹介されました。これは京都市民にすらあまり知られていない話でした。そこで、初年度のテーマを “Do you Kyoto? Do you kyotostyle?” と掲げ、まずは京都の持つ数値化されない価値を学ぶことを目的に、3日間にわたる連続講座が開催されました。

その後、京都流議定書は、多様な人たちがつながっていくことによって、足元にある気づいていない価値が新たな価値を生み出す、そんな光景を毎年生み出しました。京都流議定書は15回を終えた 2022年に一旦休止しましたが、ここから多くのソーシャルイノベーターが生み出されていきました。また、現在、さまざまな地域、領域で開催されるイベントにも繋がっています。

数値化されない価値が重要との想いは、そもそも京都流議定書を主宰していた株式会社ウエダ本社が発信してきたものであり、イベント休止後もその想いは本業での対象先である中小企業や遊休施設、過疎地域などに向けて展開しています。昨今、短期的な成長を目指すユニコーン企業に対して、経済性と社会性を両立したゼブラ企業の重要性が米国から言われるようになり、またそれを日本が追随する形になっていますが、それは本来、日本企業が有していた価値観であり、強みそのものです。ウエダ本社は、こうした強みを特に中小企業に向けて浸透させていくことで、課題先進国の日本における新たな成長の姿を、日本と同様に今後人口減少に向かうアジア、そして世界に対して示そうとしています。

いのち会議は、ウエダ本社のような事例を数多く紹介し、日本が元々有していた強みに光を当て、想いのある企業のネットワークづくりをおこない、企業活動において数値化されない価値こそが重要であるというメッセージを世界に向けて発信していきます。

【参考情報】

・京都流議定書

https://kyotostyle.jp/kyotoryu

・ゼブラ企業

https://www.zebrasand.co.jp/3565

・株式会社ウエダ本社

https://www.ueda-h.co.jp

【アクションパネル】

多様性・包摂、環境・生物多様性保存

【SDGs】