いのち宣言
どこの国や環境にいても、学ぶことや働くことで得られた知識・能力・信用が「見える」ようになり、正しく評価され、「好きで得意な道」を歩める世の中を実現しよう
現状、政府や調査会社などのワーク・エンゲイジメントに関するさまざまな調査で示されるように、「働きがい」にかかわる課題を感じている人たちが多く存在します。
働きがいの向上には、「好きで得意な道」が職業につながることが大切なのではないでしょうか。ただ、「好き」が主観にもとづくのに対して、「得意であること」は客観的に見えるようにならないと、職業につながらないのではないでしょうか。そのためには、得意であることが国やコミュニティを超えて通用するための、標準化とルールづくりが大切なポイントとなります。

学術系資格証明の標準化とガバナンスの研究
いのち会議は、2050年に向けて、「好きで得意な道」で得られた、その人が本当に持っている知識・能力・信用が見えるようになり、国やコミュニティ、距離の違いに関係なく示すことができ、正当に評価される世の中の実現を目指します。学び方や働き方の意識の変化、国境やコミュニティに対する意識の変化を経て、リアルとデジタル空間における人の流動性と横連携の拡大により、一人ひとりのいのちが輝きながら、社会と経済も活性化できると考えます。
インターネット通信網は、グローバルで国境の無い稀有な社会基盤であり、第八大陸と呼ばれる事もある「インターネット上のデジタル空間」が果たす役割は今後ますます大きくなるでしょう。デジタル空間上で、正当な評価が見えるように、表現可能な技術や、距離や空間に関わらず、安全で信頼できるコミュニケーションを助ける技術などを活用しながら、社会基盤の整備にチャレンジすることが重要です。
そのためには、次のような国やコミュニティをまたいだ合意形成のハードルを超えなくてはなりません。
● 意味やレベル合わせも含めた互換性のある、知識・能力・信用証明の承認の枠組み
● 証明の発行者、本人、利用者の信頼性を担保するための認定の枠組み
● 相互運用性を担保する技術仕様
上記のハードルを踏まえ、知識・能力・信用の中では、高等教育の国際的な移動の高まりを背景とした、UNESCO における高等教育の資格の承認に関する世界規約があることから、まず、学術界・教育界において扱われる学位や職業資格の整備から着手することが現実的です。
現状、国内で公式に認められた学位や職業資格の資格枠組みは存在しませんが、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が、 UNESCO 規約をベースに教育資格の枠組みを試案として取りまとめています。
また、「国境を越えたアイデンティティの相互運用」の実現を目指すSIDI(Sustainable and Interoperable Digital Identity) Hub において、国際標準化団体、非営利団体、政府などから22か国の専門家が参加しながら様々な議論を進めるなか、検討事項の一つとして、各国における学位や職業資格の現状整理などが進んでいます。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、国立情報学研究所と共同で、関連する機構や大学などと意見交換しながら、国内や国際間の学位や職業資格の相互運用を目指す標準化の研究を進めています。他国を含めた学術機関などとの間の、デジタル・インターフェイスの相互運用性と情報の信頼性を担保するために、多言語対応も意識しながら、内閣官房Trusted Web 推進協議会で議論されたような国際技術標準に準拠した実装の標準化や、証明の信頼性を担保する認定の枠組みなどを研究しています。
いのち会議は、これらを含む多様な組織と連携し、情報発信や教育活動、産学の協働・共創を通じ、一人ひとりの「得意」を「見える」ようにするための諸方策を探っていきます。
【参考情報】
・厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析」第3章
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1.pdf
・国立情報学研究所、伊藤忠テクノソリューションズの共同研究のプレス
https://www.nii.ac.jp/news/release/2024/1128.html
・学位授与機構「日本の教育資格枠組み(試案)」
https://niadqe.jp/information/higher-education-degree-2/
・SIDI(Sustainable and Interoperable Digital Identity)Hub のホームページ
・Trusted Web 推進協議会のホームページ
https://trustedweb.go.jp/
【アクションパネル】
多様性・包摂
【SDGs】


