いのち宣言
【提言】どこの国や環境にいても、学ぶ事や働く事で得られた知識・能力・信用が、「見える」ようになり、正しく評価され、「好きで得意な道」を歩める世の中を実現しよう。
概要
現状、政府や調査会社等のワーク・エンゲイジメントの様々な調査で示されるように、「働きがい」に係る課題感を感じている人達が多く存在します。

出典)厚生労働省 「令和元年版 労働経済の分析」第3章
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/19/dl/19-1.pdf
働きがいの向上には、「好きで得意な道」が職業につながることが、大切なのではないでしょうか?。ただ、「好き」が主観に基づくのに対して、「得意であること」は客観的に「見える」ようにならないと、職業に繋がらないのではないでしょうか? その為には、得意であることが、国やコミュニティを超えて通用するための標準化などのルールづくりの推進が、大切なポイントとなります。
2050年に向けて、「好きで得意な道」で得られた、その人が本当に持っている知識・能力・信用が「見える」ようになり、国やコミュニティや距離の違いに関係なく示す事ができ、正当に評価される世の中の実現を目指したいと考えます。学び方や働き方の意識の変化、国境やコミュニティに対する意識の変化を経て、リアルとデジタル空間における人材流動性と横連携の拡大により、一人一人の「いのち」が輝きながら、社会・経済の活性化も期待できると考えます。
インターネット通信網は、グローバルで国境の無い稀有な社会基盤であり、第八大陸と呼ばれる事もある「インターネット上のデジタル空間」が果たす役割は今後増々大きくなり続けると考えます。デジタル空間上で、正当な評価が見えるように「表現可能な技術」や、「距離や空間に関わらず、安全で信頼できるコミュニケーションを助ける技術」等を活用しながら、社会基盤の整備にチャレンジする事が重要です。
その為には、いくつかの超えなくてはいけない、国やコミュニティをまたいだ合意形成のハードルがあります。
・意味やレベル合わせも含めた互換性のある、知識・能力・信用証明の承認の枠組み
・証明の発行者、本人、利用者の信頼性を担保する為の認定の枠組み
・相互運用性を担保する技術仕様
上記のハードルを踏まえ、知識・能力・信用の中では、高等教育の国際的な移動の高まりを背景とした、UNESCOにおける高等教育の資格の承認に関する世界規約の発効もある事から、まず、学術教育において扱われる「学位や職業資格」から取り組みを着手する事が現実的と考えています。
現状、国内で公式に認められた学位や職業資格の資格枠組みは存在しませんが、独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構が、UNESCO規約をベースに教育資格枠組み(試案)として取りまとめを試みています。
また、「国境を越えたアイデンティティの相互運用」の実現を目指すイニシアティブであるSIDI(Sustainable and Interoperable Digital Identity) Hubにおいて、国際標準化団体や非営利団体や政府等などから22か国の専門家が参加しながら様々な議論を進める中で、題材の一つとして、各国における学位や職業資格の現状整理等が進んでいます。
伊藤忠テクノソリューションズ(株)は、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所と共同で、関連する機構や大学等と意見交換しながら、国内や国際間の「学位や職業資格」の相互運用を目指す標準化の研究を進めています。他国を含めた学術機関等との間の、デジタル・インターフェイスの相互運用性と情報の信頼性を担保する為に、多言語対応も意識しながら、内閣官房Trusted Web推進協議会で議論されてきたような国際技術標準に準拠した実装の標準化や、証明の信頼性を担保する為の認定の枠組みなどの研究を進めています。

「いのち会議」は、こうした組織との連携を図り、情報発信や教育活動や、産学の協働・共創の場を通じ、社会全体に理解と共感を広めてまいります。
参考情報
・国立情報学研究所、伊藤忠テクノソリューションズの共同研究のプレス:
https://www.nii.ac.jp/news/release/2024/1128.html
・学位授与機構 「日本の教育資格枠組み(試案)」:
https://niadqe.jp/information/higher-education-degree-2/
・SIDI(Sustainable and Interoperable Digital Identity) Hub
https://sidi-hub.community/
・Trusted Web推進協議会
https://trustedweb.go.jp/
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