「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

いのち宣言

【提言】世界で続く「憎しみの連鎖」をほどくために、紛争による被害者への支援に加えて、武器を取ってしまった若者たちへのエンパワーメントを拡充しよう。

概要

近年、世界中で武力紛争の件数は増加傾向にあり、年間24万人近くの命が奪われています。また、2023年末には1億人以上が難民・国内避難民として住む場所を追われており、その数は増え続けています。

難民や貧困、環境破壊や経済損失など、SDGsに関わる様々な問題を発生・悪化させる要因にもなる、テロや武力紛争の課題。その背景にあるのは「やられたら、やり返す」といった憎しみの連鎖であると考えます。

これまでの国際社会による対応は、武装勢力に加入した人々を「テロリスト」として非人間化し、武力を伴う軍事的なアプローチによって殲滅しようとするものが支配的でしたが、根本的な解決には至りませんでした。それどころか、一般市民の犠牲者が生まれ、報復感情を増幅させてしまい、むしろ事態が悪化することも少なくありませんでした。

日本発で世界の平和構築に取り組むNPO法人アクセプト・インターナショナル(国連経済社会理事 特殊諮問資格保持NGO)は、この課題に向き合う中であることに気づきました。それは、テロや武力紛争の当事者になる人々の多くは、生活の苦しさや脅迫などによって武器を持たざるを得なかった若者たちであるということです。そしてもしも、彼らが武装勢力から離脱し、未来の社会を担う「若者」として復活することができたら、世界の紛争解決・平和構築に大きく貢献できると考えました。

そうした問題意識のもと、アクセプト・インターナショナルは、いわゆるテロ組織や武装勢力から若者たちが抜け出すための呼びかけや電話相談窓口の運営などに加え、脱退した戦闘員に対するカウンセリングや基礎教育、職業訓練や宗教再教育などを通じた包括的なエンパワーメント・社会復帰支援の取り組みを、ソマリアやイエメンなどの紛争地を中心に世界6カ国で展開してきました。

ソマリアの刑務所における武装勢力の元戦闘員に向けた収入創出支援

さらに、元戦闘員だった人々と共に、紛争の被害を受けた地域コミュニティへの緊急人道支援などを実施しつつ、相互理解のための対話の場を創ることで、小さな和解を醸成してきました。

このように、元戦闘員の「いのち」を「まもり」、平和の担い手としてのユニークな可能性を「はぐくむ」取り組みによって、彼らのみならず、今まさに地域社会に生きる、あるいはこれから生まれてくる多くの「いのち」を「まもる」ことに貢献してきました。

今後は、そうした海外の紛争地などの最前線での取り組みを拡大していくだけでなく、国際社会で見過ごされているテロや武力紛争に関わる若者に関して、国際的な認識を高めていくためのグローバルな取り組み、すなわち最上流での取り組みも同時並行で進めていきます。具体的には、2031年までに、テロや武力紛争に関わる若者が武器を置き、彼らが過去の経験を生かして社会に貢献していく「平和の担い手」となることを全世界的に促進していくため、その権利や保護、エンパワーメントに関する新たな国際規範の制定を目指します。

国連経済社会理事会のユースフォーラムでの登壇

以上のことを踏まえ、「いのち会議」は、企業、政府・自治体、NPO・NGO、アカデミアが議論・共創するためのプラットフォームとして、アクセプト・インターナショナルのような団体と協働・連携し、武器を取ってしまった若者たちも私たちと同じ人間、すなわち「いのち」であるといった理念を広く世界・日本に発信することを通じて、日本発の平和構築イニシアチブに参加してまいります。

参考情報

・NPO法人アクセプト・インターナショナル ホームページ
 https://accept-int.org
・テロや武力紛争に関わる若者の権利やエンパワーメントに関する啓発や議論の促進を目的としたタスクフォース Global Taskforce for Youth Combatants(GTY) ホームページ
 https://gt4y.org
・国連と連携するNGO(日本に本部を置く組織)
 https://www.unic.or.jp/links/ngo/


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