「いのち会議」とは、「いのち」とは何か、「輝く」とはどういうことか、「誰一人取り残さない」ために何をなすべきかを、あらゆる境を越えて考え、話し合い、それぞれが行動に移す場です。いのち会議 

いのち宣言

【提言】「いのち」を守るために、男女を問わず、すべての人が平等な人間関係を築けるよう、Well beingを根本に据え、自分らしく生きられるような教育を実施しよう。

概要

2024年6月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」報告書によると、日本は146カ国中118位で、女性管理職の少なさや男女間の賃金格差などは依然として課題であり、あらためてジェンダー平等への日本の取り組みが他国に大きく遅れをとっていることがわかります。

ジェンダーギャップが生まれる要因のひとつとして、結婚・出産・子育ての負担が、今なお女性に大きくのしかかっている点が挙げられます。「夫が働き、妻が家を守る」という性別による役割分担の固定化が、なかば当然のこととされてきました。たとえば、政府は男性の育休取得の奨励を企業に義務づけていますが、男性の育休取得率は30.1%にとどまっています。

「いのち」を育むとは、女性の体内で新しい「いのち」が育まれ、出産で終了するのではなく、包括的な性教育に基づいて男女の平等な関係を想定し、そのうえで人生設計を考え、パートナーが協働して「いのち」を守り、育てるプロセスです。この「いのち」を育む長いプロセスでは、生まれた「いのち」だけではなく、その「いのち」守り育てるプロセスに関わるすべての人のあらゆる可能性を否定せず、権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること(Well-being)が重要となります。

「いのち」を守り育む人が、Well-beingを享受するためには、パートナーどうしが平等で対等な人間関係にあると認識し、「いのち」を守り育む作業を公平に分担することが必要です。そのためには、身体や生殖の仕組みだけでなく、人間関係や性の多様性、人生設計、ジェンダー平等、幸福など、幅広いテーマを取り扱う「包括的性教育」の実施が求められます。人権を基盤とした包括的性教育は、これまでの学校で行われていた性教育よりも広い視点で「性」や「らしさ」を問い直すものです。 社会に生きる私たちが知識と規範を獲得するための「包括的性教育」の推進を加速させ、すべての人の権利や自己実現が保障された社会をつくることこそが、「いのち」を守り育て、次世代につなぐために必須です。

公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンでは、世界80カ国以上で活動を展開する、国連に公認・登録された国際NGOプラン・インターナショナルの日本事務所です。これまで、こどもの権利が守られ、女の子をはじめとする、誰もが差別されない公正な社会を実現するために、質の高い包括的な教育、こどもの健やかな成長、性と生殖に関する健康と権利など、7つの分野に注力しながら活動を展開してきました。

しかし、ジェンダー平等を完全に達成できた国や地域は存在しません。支援地域の一つであるネパールでは、望まない妊娠、特に早すぎる結婚(児童婚)が、女子生徒の中途退学の要因のひとつになっています。学校や地域を巻き込んで、だれでも安心して通える学校をつくり、ジェンダーに配慮したカリキュラムをつくり、結婚年齢を20歳に引き上げよう、という促進キャンペーンを地域で展開しています。

プラン・インターナショナルが国連などと協働で実施した調査は、ジェンダー平等に向け迅速に取り組んでいる国々は全体の4分の1以下であり、SDGsの達成期限である2030年にジェンダー平等を達成するのが困難となっている現状を報告しています。

このような課題の解決に向けて、プラン・インターナショナル・ジャパンでは、女の子自身のリーダーシップの推進、紛争や災害、気候変動など危機的状況における女の子の権利の保障、性と生殖に関する健康と権利(SRHR)の実現を最優先に、日本そして世界各地で、当事者であるユースとともに、支援活動を実施しています。また、国際会議の参加や各国の政府への働きかけを通じ、ジェンダー平等を推進するための法整備や政策の見直しへの提言活動を進めています。

いのち会議は、プラン・インターナショナル・ジャパンなどの団体と協力し、妊娠・出産・子育てのどの段階においても、一人ひとりの、特に女性や女の子のWell beingを保障するシステムを構築してまいります。

参考情報

・公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
 https://www.plan-international.jp/

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