いのち宣言
【提言】現代社会で「いのち」を感じる力を育むために、禅とマインドフルネスの実践の場を広げ、国際的なカンファレンスの実施や教育、研究、地域連携を推進しよう。
概要
現代社会では、「いのち」の価値が経済的・物質的な尺度に還元される傾向が強まっています。これは、効率性や生産性を重視する近代的な価値観の影響であり、人間を「個別の存在」として捉え、自然環境や他者とのつながりを軽視する傾向があります。しかし、こうした時代だからこそ、「いのち」に対するより包括的で深い視点が求められています。そこで、「禅」と「マインドフルネス」1)の教えが注目されています。
さらに、AIが日常生活や学術研究、産業分野でますます重要な役割を果たす中で、人間らしさを維持し、深く「いのち」を感じるために、禅とマインドフルネスの教えが有効な指針となります。AI技術が生活を効率化する一方で、過度なデジタル依存は心の散漫やストレスの原因となる可能性があります。これらの課題に対して、禅やマインドフルネスの実践を通じて自己と向き合い、デジタル社会においても「いのち」を感じる瞬間を大切にする機会を提供します。
2017年から鎌倉の禅寺で毎年開催している国際カンファレンス「Zen2.0」では、国内外の禅僧、マインドフルネスの研究者、AIや人工生命の研究者などによる講演や対談、坐禅や禅文化体験(お茶、尺八、書道など)を通じて心と身体のマインドフルネスを体験しています。この活動を通じて、「禅」と「マインドフルネス」を企業社会、教育現場、地域社会に広めてきました。
これまでに、国内外から合計219名の登壇者、559名のボランティア、105社のスポンサーを集め、延べ参加者は4,600名に達しました。鎌倉という歴史ある地域が「マインドフルシティ鎌倉」として「いのち」を中心に感じられるモデル地域となり、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、リトアニア、南アフリカなどの国々とも連携し、グローバルに「禅」と「マインドフルネス」を広げています。
今後も鎌倉の禅寺で「Zen2.0」を継続開催し、「いのち」が中心に感じられる慈悲慈愛に満ちた「マインドフルシティ鎌倉」の実現とともに、国内外の新たな地域への展開や社会実装に貢献し、地球全体で「マインドフルプラネット」となっていることへの実現に向けて、具体的には以下の3つの取り組みを支援していきます。
・学校教育プログラムや企業内人材育成への導入
SDGs推進のためのIDGs(内面の成長目標)の取り組みや慶應大学観想研究センターとの連携を通じて、企業の人材育成分野と共に学校教育現場の学生や教職員が「いのち」の本質に触れる機会を提供します。禅とマインドフルネスを体験的に学ぶプログラムを展開し、実践を通じて「いのち」の価値に対する深い洞察を促進します。
・国内外の学際的な研究の推進
Zen2.0の登壇者などと協力し、禅やマインドフルネスの哲学を医学、心理学、環境学、社会学、経済学、人工知能、人工生命、物理学などの学問分野と統合した研究を推進します。これにより、「いのち」に対する新たな理解を深めます。
・各、地域社会との連携
禅やマインドフルネスを通じた「いのち」に関する気づきを地域社会と共有し、共生社会の構築に向けた取り組みを展開します。地域住民が参加できるマインドフルネスのワークショップや禅のセッションを開催し、「いのち」について共に学ぶ機会を提供し、国内外の地域間の連携を推進します。
いのち会議は、Zen2.0と協働し、禅やマインドフルネスに関連する活動の場を広げ、人間の意識・精神世界に関する学際的な研究や実践を推進してまいります。

参考情報
1) 禅とマインドフルネスの国際カンファレンス「Zen2.0」
https://www.zen20.jp/
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